うわ、なんだなんだこの人。ってこいつの聞いてる暇ないよ、次、僕じゃん。えっと何て言うかな。っていうか空(そら)で言えるくらい練習したもんな。始まりの文句だけ手のひらに書いとけば、まっしろになっても大丈夫だな。かきかき。はい、もう安心。
「って感じでサークルではもてもてで困っちゃったんですー、でもぱむ子は浮気とかそういうのしないんだよ!ふふふふ。っていうか御社はーかっこいいって感じするしー・・・」
なんだよ。長いな。早く終われ。
「とにかく言いたいことはぱむ子はむっつりスケベは嫌い。今となりに座ってる人とかむっつり系?みたいな。終わりです」
ん? 今何言ったこいつ。俺のこと言った?むっつりスケベ?
「ふんふんふん、なるほどね。はい、次どうぞ」
って僕か。って始まりの文句はなんだっけか。手を見てと。きききき消えてる!!で消えてるじゃん。どどどどうしよ!
「はい、やすださんですよ、どうぞ」
「ははっは、はい。えっと、志望動機っていうか、御社は、なんていうか、未来を見据えた経営方針っていうか、近い未来じゃなくて、ちゃんと遠い未来を見て経営方針立ててるっていうか、目先の利益だけにとらわれないっていうか、っつーか、P/L見ても研究開発投資率が高いっていうか、えっとえっと・・・」
次の文句なんだっけ? 忘れちゃったよ。
「えっとえっと、・・・さきほどとなりの方が僕をむっつりスケベっておしゃってたんですけど」
あー何言ってるの俺。
「その通りです」
あー、だめ。
「はい、むっつりね」
「そうじゃなくて。や、それはそうなんですけど、なんていうか、その、えっとえっとえっとお」
あーーー!
「ワレワレハ、ウチュージンダ」(手の甲で喉を叩きつつ)
「宇宙人?」
あーー、何やってんだ!立ち上がれ!
「うおおおおおおおおおおおおお。バイ吉田栄作」
「吉田栄作?古いね」
あー、全然違う!こうなったらパントマイム。壁。ぺたぺたぺた。
「おー、壁があるみたいに見える」
おー受けた。次は、ひもを持ったけど引っ張られる人。これはけっこう自身あり。おおっとと。
「はい、もうやめなさい。やすださん。分かったから」