143円の邂逅

12:51 AM, February 18, 1999

千葉駅のパン屋さんでパンを買って店を出て10歩くらい歩いたところで、お店の人(年下系ふつう学生ちゃん)が赤い顔して飛び出してきて元気良く話しかけられちゃいましたよ。やー、最近僕何気についてるんで告白っす! 絶対告白っす! そうでなきゃプレゼントっす! どうせおつり間違えたとかそんなことだろうと思ってるでしょ? やすだのことだからそんなことだろうと思っちゃったでしょ? ははははは(勝ち誇り)。

『す、すいません! おつり間違えちゃいました!』

って、あー、案の定っす。

パン屋の娘

『あのー、あのー、おつりみせてもらえませんか?』

いや、ごめん。もう財布にしまっちゃったんだけど。で、いくら返せばいいの?

『って、あのあのレシート見せてもらえますか?』

えっと、待ってね、あれ携帯震えてる。あ、この震えかた! これはショートメールじゃなくてふつうの電話の着信の震えかただ! どうしよ、どうしよ、でも今でれないし、この彼女は僕が探してるのを赤い顔して真剣に見てるし。あ、しつこくなってる、あ、ってレシート探してるんだよね僕。あー、あった、これですけど。って切れた。あー、怒ってる。絶対とらなかったことを怒られる。どうしよー。

『えっと、こっちとこっちを逆に渡しちゃったんですけど』

あー、えっとお釣りと合計金額を逆に渡しちゃったわけね。って差額は? 143円か。143円でいいんだね。えっと、100円と。あるかな細かいの。って、わ! また携帯震えだしたよ。すごい震えかただよ。怒りに満ちてる感じだよ。どうしよう。でろーこの野郎!って感じの震えかただよ。ってとにかく143円、143円、早く渡せ俺。はい、これでいいんですね。

『どうもありがとうございます。本当にすいませんでした!』

あ、いや、そんなに頭下げなくても。んじゃあね、年下系ふつう学生ちゃ・・・ってもう去ってちゃったよ。はや。そんな脱兎のごとく去らなくてもいいのに。僕と143円の邂逅について語らなくてもいいの? ってぜんぜんいいんだよね。って携帯にでなきゃ。焦って1回切り押したことあるからな。この電話上げボタンだよな。ぴっと。もしもし?




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