「@さーん、また@さんを歓迎する遊びを思いついたよ」
「僕をドミノにするとかでしょ?やすだくん、そんなことしてるとまじで友達なくすよ」
「なくすも何も僕には@さんしか友達いないよ。@さんだけなんだよ」
「やすだくん・・・」
「@さん・・・」
見つめ合う人間と生き物。
「なおみん、なおみん、なおっみーん。っつーかそうめんチャンプルー! って、なーに、見つめあってんのー?」
自分のテーマソングを口ずさみつつなおみさん登場。
「今日の歓迎はいいよ、まじで。なおみ考案だから」
「ほ、ほんとに、なおみさーん。英和辞典が倒れてきて床に顔面をたたきつけられることもない?」
「ないよ、やすださんじゃないんだから。ってことで土鍋登場。じゃーん」
「これで@さんに温泉気分を味わってもらおうと思ったんだって」
「え、ほんとに? 煮たりしない?」
「ははは、しないしない」
「なおみさーん、ありがとう!」
コンロに土鍋をセットし、いい湯加減になるまで温めた。@さんは至極感激してるみたいだった。良かった。
「@さん、もういい湯加減でーす」
「んじゃ、入りまーす」
じゃぽーん。
「ふいー。躰がほぐれてくのが分かるねー」
「@さん、湯加減はどうですか〜?」
「うーん、ちょっと熱いかもしんない」
「熱くしてんだよ」
「え?」
なおみさんは魔女の目つきで@さんを睨み付ける。
「わーわー、なおみさん、何言ってるの。火止めなよ、もう」
「っつーか、やすだくん、気付かないふりしてたけどこの昆布はなに!?」
「っつーか、やすださん、もっと火を強くしないとだしとれないよ」
「だ、だし?」
「な、なおみさん!!」
固まる@さん。僕をじっと見据える。
「あ、@さん、ごめん。隠してたけどなおみさんが『@さんでだしとると良くない?』って言われちゃって断れなくて・・・」
「・・・ひ、ひどいよ!!煮ないって言ったのに!!」
目に涙を溜める@さん。@さんは涙目で何かを僕に訴え、土鍋からでて、何も言わず濡れた躰のまま帰ってしまった。
「あーあ、@さん帰っちゃった。煮たわけじゃないのに。だし取ろうとしただけなのに」
「それは煮てるだろ。どう考えても」
「えー、なんでー、なおみー、わかんなーい」
残された緑色に変色した液体と昆布。
「なんかおいしくなさそうだよね、これ。植木にやったらけ枯れそう」
そう言ってなおみさんは僕の大事にしてるアスパラガスにそれをそそぎ込んだ。その予告通り1週間後に枯れた。