@さんのはなしをどう続けて良いのか分からず僕はホームページを更新することができなかった。よく中学生が趣味で書く小説にありがちなパターンだ。僕はすることがなくなるといつもそうするように、なおみさんの声を聞くことにした。
「なおみさん?」
「ふが?」
どうやら眠ってたみたいだったので僕はひたすら謝った。
「ごごごごごめん。寝てた?や、ごめん切ろうか?」
「ふがふがが?」
僕はそこで思い出した。そうだ、今日はなおみさんがふがふがとしかしゃべらない日なのだ。どういう理由かは分からない(というか訊くのをためらっているのだが)『毎週木曜日はふがしか私しゃべらないから!』と強く言われてしまったのだ。だから毎週木曜日はなおみさんに電話をすることをやめていたのだった。
「あ、ごめん、今日木曜日だったね。忘れてた。今日は何してたの?」
「ふんがふ、ふがふがふんが、ふっふふがふんふが」
「ふーん、よく分からないけど、あとでメールするよ。とりあえず、埒開かないから切るね」
「ふんがー!」
「ふ・ん・が(ハート)」
なおみさんの家族全員が毎週木曜日はふんがとかしゃべらないんだろうか?ふんがふんが言ってコミュニケーションをとっている一家族を僕は想像してひとり笑ってしまった。よし、とりあえずなおみさんにメールを書こう。
Dear なおみさん
今日も仕事大変だったよ。アルバイトの子が突然来れないっていうから別の子に連絡したんだけど、またその子がなかなか来なくて。結局来たのは閉店の2時間前だよ。もう暇になってるっちゅーの!! って愚痴なんか聞きたくないよね。
別のはなしを書きます。
今月の20日で会ってから1年になるね。なおみさんは忘れちゃってるかな? 僕はこの1年でいろいろ変わりました。なおみさんのおかげです。なおみさんがいなかったら・・・。って、そんなことはありえないから考えなくていいよね。
今日はもう眠いから寝るね。またメールする。ばいばい。
ふんがふんがふがふが?
ふがふがふがふがふふふがが。
ふんがふんがふんふんふん。
ふがふがふんふんがふんふんふんが。
(中略)
ふんが!
ふんがっが?
ふんがっふん。
ふんがふんふん。