あんな気持ち悪い生き物が@さんじゃないと僕は思う。あんなデビルマンレディにでてきそうな生き物は@さんじゃないと思う。僕はどうしてもそれを@さんだと認められなかった。
僕は何もする気が起きず、街をさまよい歩いた。@さんが多分住んでいるだろう場所に行くことができたけどもう僕の中の@さんはいないのだ。死んだも同然なんだ。会いに行って@さんじゃない@さんに餌にされたくはない。
僕はたまらなく孤独な気分になった。人波に紛れて『今の短髪系女性7点』とかやっても公園のベンチに座って鳩を眺めて『今の鳩、鳩的に6点』とかやっても僕は孤独だった。もう僕を思ってくれる変な生き物はどこにもいない。
「わ! 夏の砂浜って暑いっすよね、熱!熱!めちゃくちゃ熱!」
「やすだくーん、足の裏少し溶けたよ〜」
「え? @さん! 早く僕に飛び乗って!!」
@さんは熱に弱かった。
「あー、熱かった。やすだくんサンクス」
「って溶けてないじゃないっすか!」
「や、だって下にいると遠くのお姉さん見れないんだもん」
@さんはやっぱり熱には基本的に強い。
「あー、あの女の子すごくはみでてるよ!」
「え!!! どこっすか!」
「教えな〜い」
「・・・」
「やすだくんむっとしないでよ。視力5.0くらいないと分からないから教えなかったんだよ。すぐやすだくんむっとするんだもん」
電車を乗り継いでそのときの海に行ってみた。冬の海はそのときの楽しさをうち消すようにその場所にあった。僕はその場所にひとり座って@さんを想った。僕が座ったすぐそばで恋人が抱き合っていた。