#04@さんとドライブ

ドライブ風景 今日は@さんを誘ってあてもなくドライブ。

「やすだくん、運転へたくそだね」
「へたくそです」

なんでお前にそんなこと言われなきゃいけないんだよ!なんて一度怒鳴ってみたいけど、@さんは僕のかけがえのない友だちなのだ。そんなこと言えない。

「@さんシートベルト苦しくないですか?」
「んん、ちょっとね」

@さんは小さいのでシートベルトに挟まれてる小汚い荷物に見えた。でも、そんなこと言えない。僕にとって@さんはかけがえのない小汚い荷物なのだ。

「この辺くると、やっぱ空気がおいしいですよねー、窓開けていいですか?」
「いやだ」
「・・・」

生意気な生物だなと思った。この生意気な生物であるところの@さんは何のためにこうして存在してるんだろう? でも、そう思うだけでやっぱり口にはだせない。@さんは僕にとってかけがえのない@さんなのだ。

「うわー、あの建物なんですかね? って@さん前見えないですね」
「見えない・・・」

@さんは小さいのでフロントガラスから前が見えない。だからドライブ途中は宙を見据えたり、僕の顔をじっと眺めたりする。純粋に気持ち悪い。

「ちょっと伸びるね」
「え? なんすか?」

運転に集中していたのだが、助手席で何かが伸びた。僕のかろうじて入る視界の左隅で@さんはどんどんと伸びっていった。

「わ! なんすか! それ!」
「え? 伸びてるんだけど。あー、これで見れるー。あー、あの建物、ゴミ処理場じゃない?」

ってそんなことどうでもいいよ! なんで躰伸びるんだよ! 気持ちわりーよ!

「・・・@さんって、べ、便利そうな躰してるんですね」
「便利そうな躰っていうか、そういうものだから」

ハンドルが冷や汗でぬるぬるしてる。こいつとんでもない生き物なんじゃないか?



この日別れるまでずっと@さんの躰は伸びたままだった。不可逆なのだろうか。そうだったら面白いけど。




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