僕と@さんは並んで夜の公園のベンチに座った。
「で、最近、どうなの?」
「や、適当にがんばってますよ」
「それなりに楽しい?」
「それなりに楽しくないです」
「ふーん」
「@さんはどうなんすか」
「どうって言われても僕ニンゲンじゃないしね、やすだくんよりたぶん楽しくないよ」
「や、人間じゃない方が楽しいんじゃないですかね」
「そうかな」
「そうじゃないんですかね」
「分かんないよ、ニンゲンじゃないんだから」
そう言って@さんはタバコに火を付けて煙で綺麗にわっかを作った。
「うまいですね、わっか」
「ありがとう、やすだくんも吸う?」
「いや、いらないです」
「ふーん、吸わない系?」
「系です」
「あ、前から気になってたんだけど、やすだくん後ろの髪さわるの、それ何?」
「癖です」
「ふーん、やめられない系?」
「系です」
「ふーん、意味なし系?」
「系です」
@さんはタバコを自分の額に押し当てて消した。少しいやな匂いがした。
「やすだくんにはなしたいことがたくさんあったような気がしたんだけど」
「僕も@さんに訊きたいことたくさんあったような気がしたんですけど」
「なんか、会ったらどうでもよくなっちゃったな」
「僕もそんな感じです」
@さんの額はやっぱり少しただれていた。
「おなかすかない?」
「すいてないです」
「ふーん、すかない系?」
「すかない系??」
「・・・っていうか、もう帰る」
@さんは突然会話をやめて夜の闇に消えてしまった。
やっぱり、額を冷やしたかったんだろうな、僕はそう思った。