「フェイクっち、こんばんは〜? って、返事がないけど入るよ〜。」
「ばっ! 羽広げ!」ケムシっち、部屋に入ってきた途端にフェイクっちの羽広げで驚かされる。
「わっ!」
「鱗ぷんふりかけ〜」ケムシっち、フェイクっちに羽を細かく振動させて鱗ぷんを降り注がれる。
「もう〜、フェイクっち〜、寿命縮むじゃ〜ん。やめてよ〜」
「ふんふーん! いいでしょ? 蝶! ケムシっちも早く蝶になれるといいね!」
「う、うん」
「なーにー? なんなのー? あっ、もしかしてわたしみたいな綺麗な蝶じゃないと思って怖じ気づいてるんでしょ?」
「別にそうじゃないんだけど。なんか、フェイクっちの胴体の柄が妙に気持ち悪いなーって思って。そんなのになるのはやだなー」
「なんでケムシっちまでそう言うこと言うの! 超ショック! ケムシっちがそんなこと言うなんて信じられないよ! 子供の時は一緒にサナギになろうってまで約束してたのに!」
「っていうか、フェイクっち、いつもそういう約束しては破るじゃん。校内マラソン大会でも『一緒に行こう、一緒に行こう、わたし遅いから置いてかないでね!』とかかわいく言っておいて校舎に戻ってきてグラウンド一周するときめちゃくちゃダッシュして「ケムシっちに勝っちゃった!」とか言ったりするじゃん」
「確かにそうだったかもしれないけど」
「フェイクっちなんて信じられないよ」
「あ、あの、ケ、ケムシっち・・・」
「じゃあね〜」バタンッ!ドアを閉めてケムシっち去る。
「っていうか、ふ化祝いは? まるごとバナナ100本って約束は?」