甘い甘い夏の思い出。わたしはその夏、電熱の鍋を買いました。焼き肉も鍋もできる中途半端な深さの鍋です。わたしは○○くんと一緒に
「はーい、あーんして、フェイクさーん」
「アイーン」
「って顎は突き出さなくていいよ」
「だって今アイーンしてって言ったもん!」なんてことを想定して買ったわけです。
ま、最初は試運転ということで、ひとりで鱈の水炊きをしました。ひとり部屋でクーラーをがんがんにかけ背中を丸めてつつきます。会話もなく、暗い部屋です。ああ、わたしもシアワセになれるのかな?そんなことを考えて目に涙が溜まります。
わたしはひとりでその鍋を食べきることができず、台所に片づけました。次の日、会社から帰ってきてドアを開けた瞬間、この世のものとは思えない悪臭が私を包みこみました。なんじゃあこりゃあ。空気に色が付きそうな勢いです。
臭いの元をみると、昨日の鍋です。白い膜で表面が覆われ、とろみが勝手についてました。口で息をしながら流しに捨てて別の部屋に非難しました。
昨日のことのように目に浮かびます。やですが。