「タカヒコくんはもう末期のガンだ。もう手の施しようがない」
え？ なんでタカヒコくんが。まだ小学２年生なのに！
「先生、本当なんですか？」
おろおろ声になってしまいます。そんな！信じられない！信じたくない！
「本当だ。家族の方にはもう言ってあるんだが、くれぐれも本人には気付かれないように頼むよ」
そんなあ、タカヒコくんが。隣のおじいちゃんのほうがよっぽど死にそうなのに。
タカヒコくんが入院して半年、タカヒコくんとナース系女性はすっかり仲良しになっていました。
よし、わたしが今できることはいつものようにタカヒコくんを元気づけてあげることよね。ぐすん。ガチャ。
「タカヒコくーん、血吸うたろうか〜？ えへ」
かわいく登場し、蚊のまねをしてタカヒコくん頭をこつきます。タカヒコくん体が衰弱してるのか首がぐにゃりとなりあまり反応がありません。
「タカヒコくん？ こんにちはー、ピザピザピザって１０万回言って！」
「あ、お姉ちゃん・・・」
「調子はどう？」
「なんか今日は体がだるくて・・・」
「日にあたってないからだよねー、っていうか、早くピザピザピザって言ってよ！」頭をこつきます。首がぐにゃり。
「・・・お姉ちゃん、僕、もう助からないんでしょ？ 僕には分かるんだよ！ あんまり会ったことがない遠い親戚の人が最近会いに来るし。僕、こわいんだ、こわいんだよ」
涙目になるタカヒコくん。わたしも目に涙が溜まってきました。
「タカヒコくん・・・」
さて、ここでタカヒコくんを元気づける適切な行動とはなんだと思いますか？