春のそよ風に包まれて

1998/1/28

 僕、酔っぱらうと基本的に人にからむ人なんですけど、っていうか一生懸命、日頃どのくらいせつない気持ちを抱えて生きてるかってのを力説するんですけど、これが結構迷惑がられるんだよね。でも、そんなあからさまにいやな顔しなくたっていいのに。

 で、そういうふうに人にからんでたくさんしゃべっておいて、人の話を聴いてないんですよ僕。一生懸命聴いてるふりして、全然聴いてないんですよ。そんな僕に気付かないで話し続けたりすると僕はもう違う世界に行ってますかね。精神的遊体離脱っていうんですかね。こころはあの彼女のところに行ってたり、その彼女のところに行ってたりしてますから。ええ。

岩下さんに向かって撃て

 お酒のうまさってそのときその日にどれだけ嬉しい気持ちを蓄積できてるかなんですよね。でも、僕の感じる嬉しさってたわいもなくて、その彼女が書いた直筆のメモを入手できたり(40うれしさ)とか、その彼女の笑顔が40Mくらい前方からたまたま垣間見れたりとか(30うれしさ)、あの女性の笑い声を直接聴けたりとか(30うれしさ)、その女性とすれ違えていい匂い嗅げたりとか(50うれしさ)なんですよ。本当にたわいもないですね。

 そうそう、サラリーマンになってから妙に女性とすれ違うと芳しいそよ風が僕を包んで夢の世界に連れていってくれるんですけど、いつわりの匂いでいいからもっともっと嗅がせてください。それが僕の言いたいことです。終わり。




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