プチフェリー リゾート気分で久米島(後編)

00:12, Nov 01, 1999

台風のせいでフェリーがひどく揺れます。横倒しになるんじゃないかっていうくらいの勢いで揺れます。僕は何を思ったのか、フェリーが出発してすぐに嵐の甲板にでていきました。本当になんで出ていったのか分かりません。なおみさんもなんで止めてくれなかったのか分かりません。

で、甲板にでるとひどい嵐です(当たり前)。ひとりのおじさんが無謀にも船の端にあるベンチで寝ています。海を眺めたいんですけど、それどころじゃない揺れのため危険で近づけず、屋根のある甲板の前部のベンチに腰掛けます。すぐに気持ち悪くなって僕もベンチに横になりました。屋根があっても、雨と海のしぶきが吹き込みます。



そこで客室に戻れば良かったんですけど、少し濡れてしまったというのと、戻ると負けみたいな気持ちが働き、戻ることができずに僕はベンチで横になりつつ耐えてました。う〜気持ち悪い。でもでもがんばるんだ!やすだ!これは試練なんだ!とか思いつつ。僕より先にいたおじさんも海の波をもろにかぶったみたいで僕の近くのベンチに移動してきました。

僕は意識をしっかり持つようにこころがけ、しぶきに耐えてました。もう海の水で体中がべとべとです。そのまま30分くらい耐えたころ、雨の勢いがさらに増してきました。やばいかな?と思ったんですけど、今さら戻れません。体も寒くてがくがく震えてきました。寒い!なんでなおみさん助けにきてくれないんだ!僕がどうなってもいいのか!そんなことを思いつつガクガク震えてました。



ざばーん。ん? 何? 何今の?。寝ている僕の顔に波がかかりました。まじでやばい。僕は一番波のかかる確率の低い前のベンチに移動し、波が来るタイミングで体を起こし、波をよけつつ、たまにはかぶりつつ、必死に耐えてました。大丈夫、大丈夫、嵐は必ず過ぎる。僕はついてる。僕は大丈夫。そんなことを自分に言い聞かせてました。



・・・1時間30分後。

嵐がおさまり、雨もやみました。ほっ。甲板の端に行き、海を眺めます。そう、僕が甲板に来た理由はこれでした。外に行って海を眺めたかったんです。髪も海水でごわごわになって体が海臭い。でも、僕は耐えきったという充実感でいっぱいです。きらきらした目で海を見つめます。僕はやったぞ! わお! 嵐の中甲板で耐えきったぞ!(隣のおじさんも)

ずぶぬれやすだ

そんなことを思ってると、やっとなおみさんが『マルボーロ』の袋を片手に客室から登場しました。
「もうなにやってるの!」
「なんとなく戻れなくて(っていうかなんで一度も様子を見にきてくれなかったんだろう)」
「心配しちゃったよ」
「ごめん(じゃあ、なんで今まで一度も甲板に様子を見に来てくれなかったんだろう)」

僕はなおみさんの『マルボーロ』を奪いぱくぱく食べました。




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